水晶発振子の動作確認用発振回路の製作(その1)

 

 おもちゃが正常に動作しない要因として、発振回路の故障があります。中でも多い故障としては両面スルーホール基板のパターンが浮いてしまっている。或いは切れている事があります。これらは良く観察したりテスターで導通を診れば判りますが、水晶振動子の故障は厄介です。

 

 水晶振動子やセラミック振動子という物は電気的には絶縁体ですのでテスターでは良否は判断できません。そして発振回路に取り付けられたときだけその周波数で振動します。簡単に調べる方法としてグリッドディップメーターという簡単な原理の測定器で調べる事が出来ます(巻末参照)。これは自作好きなアマチュア無線家で持っている人もいます。しかし、多くのおもちゃドクターは其のようなものは持っていません。

  多くのおもちゃドクターはテスターまでは持っていますが、高い周波数まで測れるオシロスコープは持っていません。しかし、最近、マルチメーターが安くなったのでおもちゃドクターでも使っている方が多いようです。そこで、マルチメーターを使って発振周波数の確認と故障の判断ができる様な『発振回路』を作ってみようと考えました。

 多くの玩具に使われている水晶振動子の動作が確認できる簡単な発振回路の製作です。製作した回路は実際には6MHZから26MHzまでの動作確認はしましたがそれ以外はしていません。

 製作するのは、コルピッツ発振回路のコイルを水晶発振子に置き換えたものです。

  コルピッツ発振回路は1918年にEdwin Henry Colpittsによって考案された発振回路で能動素子2個のコンデンサの直列合成容量とコイルのインダクタンスによって発振周波数が決まるものです。コルピッツ発振回路の利点は高い周波数の発振に適することです。

 

回路は

部品配置と配線

水晶発振子の差込口は物によって脚の間隔が違うので丸ピンICソケット(シングル4P)の左右の夫々2つをペアにすると使い勝手が良いです。

手持ちの部品だけで簡単に作れますので時間の有る時に製作しておくと便利だと想います。

 30MHzぐらいまで測れるオシロスコープを持っている方は波形も見ることが出来ます。

 水晶発振子に問題がなければ、マルチメーターで測ると単純に周波数が読み取れます。周波数の表示が出なかつたり不安定な状態の時は水晶発振子に問題が在ると考えられます。

 

  グリッドディップ・メーターによる水晶発振片の検査法

 

水晶の周波数が判らない時の検査をグリッドディップ・メーターですることができる。
(1) 水晶片に短かい線を図の要領で接続する。
(2) その線(ループ)にグリッドディップ・メーターのコイルを誘導結合する。ループの線の方向はコイルの巻線方向と平行になるようにする。
(3) グリッドディップ・メーターのダイヤルを静かにまわし、ディップ点を求める。このとき細心の注意を払ってやらねば見過すことがよくある。こうして求めたディップ点が,水晶片の基本周波数であるからグリッドディップ・メーターのダイヤルから読みとればよい。