7.ダイオード

ダイオードとは2つの極からなる物体の事です。真空管でも陽極と陰極のみで構成されています。2極管をダイオードと言いますが、ここでは半導体のダイオードだけを説明します。

整流、検波が基本的な機能です。

材料の分類、構造上の分類、特性上の分類、用途、役割等の分類など様々な分け方があります。

電極はアノード、カソードと呼びます。必ずカソード側に帯状のマーキングがあります。

ア.ダイオードの基本機能

(ア)ダイオードの整流作用

ダイオードは、アノード(陽極)およびカソード(陰極)の二つの端子を持ち(この用語は真空管から来ています。)、電流を一方向にしか流しません。すなわち、アノードからカソードへは電流を流しますが、カソードからアノードへはほとんど流しません。このような作用を整流作用といいます。半導体ダイオードでは、p型とn型の半導体が接合されたpn接合や、半導体と金属が接合されたショットキー接合などが示す整流作用が用いられます。pn接合型ダイオードにおいては、p型側がアノード、n型側がカソードとなります。

(イ)ダイオードの基本動作(ここもどうでもいいです。)

ここでは半導体ダイオードの動作について、基本的なpn接合ダイオードを例に取って簡単にその特性について触れていきます。

a.基本構造と熱平衡状態

 

pn接合ダイオードは、n型半導体とp型半導体が滑らかに繋がった(接合された)構造をしています。pn接合部ではお互いの電子と正孔が打ち消し合い、これら多数キャリアの不足した空乏層が形成されます。この空乏層内は、n型側は正に帯電し、p型側は負に帯電しています。このため内部に電界が発生し、空乏層の両端では電位差(拡散電位)が生じます。ただしそれと釣り合うように内部でキャリアが再結合しようとするので、この状態では両端の電圧は0と言うことになります。

 

b.整流動作

〇 順バイアス

ダイオードのアノード側に正電圧、カソード側に負電圧を印加することを「順バイアスをかける」と言います。これはn型半導体に電子、p型半導体に正孔を注入することになるので、これら多数キャリアが過剰となるために空乏層は縮小・消滅し、キャリアは接合部付近で次々に結びついて消滅(再結合)します。全体でみると、これは電子がカソードからアノード側に流れる(=電流がアノードからカソード側に流れる)ことになります。この領域では、電流はバイアス電圧の増加に伴って急激に増加します。また電子と正孔が再結合するため、これらの持っていたエネルギーが熱(や光)として放出されます。この時に順方向に電流を流すのに必要な最小の電圧を順方向電圧降下と呼びます。 順方向電圧降下は流れる電流、温度で変化しますが、同一環境条件下では極めて安定です。

〇 逆バイアス


アノード側に負電圧、カソード側に正電圧を印加することを「逆バイアスをかける」と言います。この場合、n型領域に正孔、p型領域に電子を注入することになるので、それぞれの領域においてキャリアの打ち消し合いがおきて、多数キャリアが不足します。

このため接合部付近の空乏層はさらに大きくなり、内部の電界も強くなるため、拡散電位が大きくなります。この拡散電位が外部から印加された電圧を打ち消すように働くため、逆方向には電流が流れにくくなります。

実際の素子では、逆バイアス状態でもごくわずかに逆方向電流(漏れ電流、ドリフト電流)が流れます。さらに逆方向バイアスを増してゆくと、ツェナー降伏やなだれ(アバランシェ)降伏を起こして急激に電流が流れるようになります。この降伏現象が始まる電圧を(逆方向)降伏電圧または(逆方向)ブレークダウン電圧と言い、降伏によって急激に逆方向電流が増加しています。領域を降伏領域(ブレークダウン領域)と言います。図で分かる通りブレークダウン領域では電流の変化に比して電圧の変化が小さくなります。この領域を積極的に利用して定電圧源として利用するのがツェナー・ダイオードです。

(ウ)ダイオードの定格

重要な定格としては順方向電圧降下(Vf)、順方向電流(If)と逆方向電圧(Vr)があります。

順方向電圧降下(Vf)はこの電圧を超えた信号でないと電流が流れませんので、取り扱う信号が小さい又は発光ダイオードの場合は要注意です。

順方向バイアスで電圧を印加した場合Vfを超えた時点で一気に電流が流れるため順方向電流(If)の定格を超えれば破壊に至る危険性があります。

逆方向電圧(Vr)はこの電圧を超えた逆方向電圧を加えるとダイオードが破壊されます。Vrは絶対最大定格ですのでツェナー・ダイオードのように降伏電圧を積極的に利用するように設計されている場合を除いて、絶対に超えてはなりません。

おもちゃ修理で一番困るのはダイオードは形が小さいので省略されたマーキングになっていることが多く、型番を把握するのが難しいと云う事です。ゲルマニウムかシリコンかを判断して汎用のもので置き換えるぐらいしか対策はありません。もし判明したらしっかり把握しておきましょう。

イ.素材による分類

(ア)ゲルマニウム・ダイオード

半導体の素材としてゲルマニウムを使用しているダイオードを言います。構造としては点接触型のものが多く、接合型のものはあまり見ません。先に述べたようにエネルギーギャップが小さいため順方向電圧降下が少ないことと電極間容量が小さいため高周波検波用や小信号用として一般的です。1N60SD34SD46等が有名です。

(イ)シリコン・ダイオード

素材としてシリコンを使用しているダイオードを言います。構造としては接合型が多いのですが点接触型もあります。小信号から大電力用まで用途に応じて品種が数多く、現在最も一般的にあらゆる用途に用いられています。

 

(ウ)セレン整流器

セレン整流器とは、半金属として分類されるセレン(34Se78)の半導体としての性質を利用した整流器のことです。

セレンはp型半導体としての性質を持つため、基板上にセレン多結晶膜を形成し、さらに適当なカドミウムやビスマスなどからなる易熔合金を貼り付けたものには、金属と半導体の接合によって生じるショットキー障壁が形成され、これを整流器として用いることができます。

セレン整流器の特性は現在スイッチング電源に良く用いられるショットキー・バリア・ダイオードと良く似ており、逆耐圧が低く(30V程度)、逆回復時間が無いため高速に動作します(容量成分はショットキー・バリア・ダイオードよりもかなり大きい)。

逆耐圧が低いため、通常、多数の素子を直列に接続して使用します。

また、セレン整流器は耐圧を超えて整流膜を破壊してしまった場合でも休ませることによって整流膜が復活する自己修復作用があることでも知られています。

主に19501960年代のテレビ受像機に電源を供給する整流器として多用されていましたが、セレン、さらにはカドミウムといった金属自体が有害物質であり、また、物理的に大型のため、1970年代に入ると、小型で同等以上の容量を有するシリコン・ダイオードを使った整流器に置き換えられ、セレン整流器は作られなくなりました。

古い時代の電気機器で橙色や、黄緑色をした多層の板状の整流素子を積み重ねたような物体が使用されていたらセレン整流器と考えて間違いはありません。

(エ)亜酸化銅整流器

金属整流器の一種です。1929年(昭和4)ごろアメリカで開発され、実用化されました。亜酸化銅は正しくは酸化銅(I)、あるいは酸化第一銅といわれることから、酸化銅整流器ということもあります。初期には蓄電池の充電に使われましたが、逆方向耐電圧が6ボルトと低いこと、逆方向電流も大きく50℃以上で劣化するため、セレン整流器にその立場を譲り、もっぱら計器やリング変調器などに使われました。

 

しかし現在では、それら充電以外の用途もゲルマニウム整流器やシリコン整流器に置き換えられて殆ど使われることはありません。

 

電気銅板の表面を酸化して亜酸化銅の膜をつくり、その上に電極金属を圧着するか、溶融金属を吹き付けて電極を形成して製造します。電流は、電極→亜酸化銅→銅の順に流れます。つまり亜酸化銅から銅のほうへは電流が流れやすく、逆方向には流れにくいことを利用したものです。

 

古いテスターなどに使われているのを見かけることがあります。

 

(オ)鉱石検波器

鉱石検波器は、半導体の性質を有する鉱石に金属針を接触させ、ショットキー障壁による整流作用を利用する、一種のダイオードです。世界最初の半導体素子の実用化であり、点接触型ダイオード、ショットキー・バリア・ダイオードの遠い先祖とも言えます。

 

鉱石検波器は、世界中でほぼ同時期に少しずつタイプの異なるものがそれぞれ発明されているため、最初の発明者が誰なのかについてははっきりしていません。結晶により検波ができることが見出されたことにより、以降、鉱石検波器はクリスタル検波器とも呼ばれます。

 

初期の鉱石検波器は、方鉛鉱や黄鉄鉱などの天然鉱石に金属針を接触させ、ほぼ毎回、感度の良い部分を金属針を動かし探って用いる方式のものであり、不安定で調整の難しいものでした。

方鉛鉱や黄鉄鉱などの天然鉱石は、結晶方位不定の多結晶体であり、微視的には、粗い表面を持つ多結晶面に、粗い表面を持つ金属面を接触させていることになるため、不安定きわまりなく、わずかな変化により桁違いに性能が変化するので感度の良い部分をその都度探すのが普通でした。

 

実際に市販されていた探針式鉱石検波器の実例です。上の全体図で左右の金属部分をホルダーに入れて固定し、右端のつまみを使って鉱石を動かして探針の当たる位置を変えて最も感度の良い部分を探して使用していました。

 

ウ.構造上の分類

 

(ア)点接触型ダイオード(ポイントコンタクト・ダイオード)

N型半導体の小片にタングステンなどの金属を針状にして接触させた構造のダイオードです。

 

構造からして大きな電流が流れる場所には使用できません。(数mAが限度)

 

電極間容量が小さいため高周波特性は良く小信号用途では今でもよく使われます。実際には接触させただけでは不安定になりやすいので金属針を接触させるときに溶接して安定性を確保しています。

 

(イ)接合型ダイオード(ジャンクション・ダイオード)

PN接合の半導体をダイオードとしたもので、シリコン・ダイオードではごく一般的な構造です。

 

接合面に面積を持たせることが出来るので電流負荷を大きく取りやすい反面、電極間容量が大きくなるので高周波用途には向かない場合もあります。整流、スイッチング等の用途に向きます。

 

エ.特性上の分類

 

(ア)汎用ダイオード

 

一般的に何にでも使用できるダイオードです。小信号用回路であれば何でも代替品として使用できます。高速スイッチング回路には向きません。

 

(イ)電力用ダイオード(整流用ダイオード)

 

主として整流回路に使用されます。逆耐圧、電流に気を付ければ特に品番にこだわらず使用可能です。

 

(ウ)ツェナー・ダイオード(定電圧ダイオード)

逆方向電圧をかけた場合、ある電圧でツェナー降伏またはなだれ(アバランシェ)降伏が起き、電流にかかわらず一定の電圧が得られる性質を利用するもので電圧の基準として用いられます。添加する不純物の種類・濃度により降伏電圧が決まります。なお、順方向特性は通常のダイオードとほぼ同等です。

 

雑音が多いので使用する場合は注意が必要です。

 

(エ)トンネル・ダイオード(江崎ダイオード)

量子トンネル効果により、順方向電圧をかけるほどに流れる電流量が少なくなる「負性抵抗」が現れる電圧領域を利用して非常に高い周波数での発振回路に使用します。1957年に江崎玲於奈氏が発明しました。

 

不純物濃度を調整し、ツェナー電圧を順方向バイアス電圧の領域にしたものです。

 

 

 

(オ)ガン・ダイオード

 

マイクロ波(小電力)の発振器に用いられます。

 

(カ)インパッド・ダイオード(アバランシェ・ダイオード)

 

半導体素子の一つ。Impact Ionization Avalanche Transit Time Diodeの略。アバランシェ・ダイオード(avalanche diode)とも言います。衝突電離により電子なだれ(アバランシェ)電流が増大する際の時間遅れおよびキャリアがドリフトすることによる時間遅れに基づきマイクロ波領域で負性抵抗を示すもので、マイクロ波の発振器として使用されます。

 

(キ)ショットキー・バリア・ダイオード

 

金属と半導体とのショットキー接合の整流作用を利用しています。

 

順方向の電圧降下が低く、逆回復時間が短いため、超高速スイッチングや高周波の整流に適しています。

 

一般的に漏れ電流が多く、サージ耐力が低いのですが、これらの欠点を改善した品種も製作されています。

 

(ク)定電流ダイオード(CRD

 

接合型FETJFET)のドレインをアノードとし、ソースとゲートを短絡した電極をカソードとしたものです。そうすると順方向電圧をかけた場合、しきい値以上の電圧であれば、ほぼ一定の電流(IDSS)が得られます。JFETIDSSは一般に個体ごとにバラつきが大きいのですが選別・分類したものを製品として市販されています。定電流の値の範囲は大体1mA15mAです。

 

本ダイオードは最初に説明したように実体はFETで逆方向の電流を制限する整流作用もありません。ダイオードと呼ぶのは通称のようなものです。

 

(ケ)可変容量ダイオード(バリキャップ)

 

電圧を逆方向に掛けた場合にダイオードのpn接合の空乏層の厚みが変化することによる静電容量(接合容量)の変化を利用した可変容量コンデンサです。

 

可変容量コンデンサに見られる容量を変化させるための機械的な部分がないため信頼性が高くなります。電圧可変発振器(VCO)や電圧可変フィルタに広く用いられており、テレビ受像器や携帯電話には欠かせない部品となっています。なお、日本ではバリキャップと呼ばれることが多いのですが、海外では普通バラクタと呼ばれます。

 

(コ)ダイアック(トリガーダイオード、サージ保護用ダイオード)

 

2極(Diode)の交流(AC)スイッチということから名づけられた名称です。米国GE社で開発され、交流電源から直接トリガパルスを得る回路や電子回路のサージ保護用に使用されます。

 

規定の電圧(ブレーク・オーバー電圧:VBO)を超える電圧がかかった場合に導通状態になり端子間の電圧を低下させる双方向素子です。基本構造はPNP(またはNPN)三層の対称構造を持ち、PN結合のアバランシェ効果と、トランジスタの電流利得作用による負性抵抗特性をもちます。

 

なお、名称こそダイオードとなっていますが、実際の構造・動作原理はサイリスタに分類される複雑なものになっています。

 

(サ)フォトダイオード

 

pn接合に光が入射すると、P領域に正孔・N領域に電子が集まり電圧が生じます(光起電力効果)。その電圧または電流を利用して光センサとして使用します。PNPIN、ショットキー、アバランシェ(APD)の種類があります。太陽電池も同じ効果を利用していますが、フォトダイオードは逆方向バイアスを印加して光電流を取り出しています。

 

(シ)PINダイオード (p-intrinsic-n Diode)

PN間に電気抵抗の大きな半導体層をはさみ少数キャリア蓄積効果を大きくし逆回復時間を長くしたものです。順方向バイアス時に高周波交流を通過させる性質があることを利用し、空中線のバンド切り替えなど高周波スイッチングに用いられます。pn接合で順方向電圧から逆方向に電圧の極性が変化するとき、注入によってn領域に蓄積されるホール(正孔)の一部がp領域に逆流して、ある時間(蓄積時間)だけ大きいパルス電流を流します。pn層に挟まれたi層が、この蓄積時間を短くするために働きます。

 

(ス)発光ダイオード(LED

 

エレクトロルミネセンス効果により発光します。

 

当初、赤色LEDから実用化されました。次いで黄緑色、青色と開発が進み3原色が発光できるようになった事からLEDディスプレイを始めとして応用範囲が急速に拡大しました。純緑色は青色が発明されてからようやく実用化されました。

 

順方向バイアスで使用し、流れる電流の量によって発光強度が変わります。

 

一般的なシリコン・ダイオードと比較すると発光ダイオードは順方向電圧降下が高く発光する色によって順方向電圧降下(VF)が違いますので注意が必要です。赤外(1.4V程度)、赤色、橙色、黄色、緑色(2.1V程度)、白色、青色(3.5V程度)紫外(4.5~6V程度)となっています。またこの順方向効果電圧は極めて安定ですので定電圧源として使用されることもあります。

 

逆耐電圧は通常のシリコン・ダイオードより遥かに低く通常はマイナス5V程度なので整流用途には使用できません。

 

白色光は本来の意味ではすべての色のスペクトラムを持った光を指しますが、発光ダイオードはある特定の波長を持った光しか放出することが出来ませんので白色光を出すためにはRGB3原色ダイオードを一つの筐体に収めたものとか人間の目の感覚を利用して白く見えるようにしたもの或いは何らかの工夫を加えてあたかも白色光を発しているように見せているものなどがあります。

 

特に、蛍光灯と同じ理屈で発光ダイオードの発する光を何等かの蛍光体に吸収させて蛍光体から白色光を発光させる技術は照射する光よりも長い波長の光しか発光できないという問題がありましたが青色発光ダイオードが実用化されたことにより現在の主流となっています。

 

発光強度は流れる電流に比例して強くなりますがその分寿命は短くなります。必ず適正電流を超えないようにして下さい。安価な家電製品、おもちゃ等では寿命を無視して発光強度を高めているものも散見されるそうですので注意してください。

 

また、発光効率が良いのも発光ダイオードの特徴の一つですがいくら少ないと言え損失分は熱になりますので、照明用途の発光ダイオードはしっかりとした放熱が必要です。

 

使用にあたっては必ず制限抵抗或いは定電流回路を通してダイオードを保護してください。

 

(セ)レーザーダイオード (laser diode)

 

レーザー光線を発生させるダイオードです。半導体レーザーとも呼ばれます。

 

(ソ)バリスタ(非直線性抵抗素子)

 

一定の電圧を超えた場合、電気抵抗が低くなりサージ電圧から回路を保護する双方向素子です。酸化亜鉛焼結体の粒界が持つ、非直線抵抗性を利用しています。

 

(タ)ステップリカバリ・ダイオード

 

pn接合に順方向バイアスを加えたときの少数キャリアの蓄積量が最大になるようにしたダイオードです。少数キャリアの蓄積効果を積極的に利用するためのダイオードで、スナップ・ダイオードとも呼ばれます。

 

.使用する上での注意事項

 

(ア)個体別の特性の相違

形が小さいためマーキングが省略されがちで品番が分からなくなるだけではなく、同じ品番でもダイオードは個体ごとの特性のばらつきが多くギリギリの設計をしている場合は単純に置き換えるだけでは済まないことがあります。

 

(イ)直列接続

逆耐電圧が不足する場合にはダイオードを直列に接続して逆耐電圧を稼ぐことがあります。この場合は全て同品番のものを使用します。更に直列に接続した各ダイオードに均等に負荷がかかるように工夫した回路を使用します。このようにしないと一番弱いダイオードに負荷が集中し、そこが破壊されます。シリーズの1個が破壊されるとオープンモードであれば良いのですがショートモードで破壊すると各ダイオードには分担していた負荷よりもさらに強い負荷が加わりますので次に弱いところが破壊されます。このようにして連鎖的に破壊が進み最終的には全部の素子及び周辺回路を巻き込んでの大トラブルを引き起こすことになります。シリーズに接続する場合は必ず負荷の均等化を図る着意が必要です。

 

発光ダイオードでも多数の素子を接続する場合はシリーズで接続することがあります。

 

(ウ)並列接続

電流容量が不足する場合は並列に接続して容量を稼ぎたくなりますが、これは大変危険で絶対にしてはいけません。ダイオードの並列接続はありえないと思ってください。Vf-If線図を思い出してください。

 

一番Vfが小さいダイオードに印加された負荷電圧がVfを超えた瞬間、負荷に必要な全電流が一つのダイオードに流れますのでそのダイオードは負荷オーバーで破壊されます。次には2番目にVfの低いダイオードが同じ理由により破壊されます。この破壊は連鎖的に進行しますので全部のダイオードが道連れになります。結果としてダイオードの並列接続は成り立たないということが理解できると思います。

 

(エ)足の取り扱い

 

ダイオードの足は単に素子の支持だけではなく、ケースの保護や放熱などそれなりに意味を持たせて設計されています。とくに形状が小さい整流用ダイオードは半導体部分で発生した熱を外部に逃がすという役割を担っている場合が多く、あまり短く切ってしまうのは問題があります。また、ダイオードの根元に対しては外部から物理的ストレスを加えないようにしてください。