プリント基板(銅箔パターンの断線)の修理法

 1. まえがき

プリント基板の故障で良くある要因には銅箔パターンの断線があります。そこで、プリント基板の銅箔パターンの断線の見つけ方と修理について整理しました。

 

2.故障

 電子回路で動くおもちゃが多いですが、その経年,使う年齢,使用場所,おもちゃの種類や使い方などにより、色々な故障をします。

 その中でプリント基板関連の故障も多く起きます。

特徴として、

・電子ピアノやオルガンなどの楽器や絵本は、強く押したり叩いたり、構造の弱さも相まってプリント基板が割れる。

 ・おもちゃ携帯やリモコンは、落としたり投げたりして、プリント基板が割れる。

 ・リモコンカーやヘリコプターなどは、衝突や落下でプリント基板が割れる。

 ・重い電子部品の足の半田ランドが、落下や振動により基材から浮き、銅箔パターンが断線する。

・経年変化や飲み物をこぼしたり舐めたりして銅箔パターンが腐食して錆が発生し、銅箔パターンが腐食断線する。

 ・プリント基板の作成時の不良により、銅箔パターンが断線し易くなってい  

  る。

 

プリント基板の断線パターンにより、故障の症状が変わります。

 ・    電源ラインの銅箔パターンであれば電源が入らない、

     音源ラインであれば音が、

     ボタン入力ラインであれば入力が、

 ・    センサ入力であれば検知が、

     モータ電源ラインであればモータがなど、

 

銅箔パターンがそれぞれの役割を果たしています。

 従って、逆にどの動作がしないかにより、おおよそどの銅箔パターンが断線しているかを推定できる訳です。

 

3.診断(検査)

まず目視で、プリント基板のひびや割れによる銅箔パターンの断線、錆による断線の有無を調べます。プリント基板のハンダ面には、銅箔パターンの酸化防止と、銅箔パターンの固着強化と絶縁、ハンダをする部分としない部分の保護をする緑色のソルダーレジストが印刷され、さらにハンダの載りを良くするため、薄茶色のフラックスが塗布されています。従って、目視では小さなひびや割れなどの銅箔パターンの断線を見つけるのは難しいです。

 場合によっては、ソルダーレジストやフラックスを除去して断線を探すこともあります。また、拡大鏡やデジカメの拡大機能などを使って調べます。

 目視で見つからない場合は、電気的に銅箔パターンの断線を調べます。

 その場合、テスターなどの導通チェック機能を使い、尖った端子をプリント基板上の銅箔パターンの銅箔が露出している接点やテストランドあるいは部品端子に強く押して接触させ、断線の有無を探します。ブザー音で導通の確認ができるテスターを使用すると分かり易いです。

 またプリント基板の銅箔パターンには、1mm以下の幅の部分もあり、

 そのソルダーレジストで覆われた銅箔パターン途中の断線の確認には、裁縫針を使って行います。

 

4.修理

 (1)プリント基板のひびや割れによる銅箔パターンの断線

再び力が加わる可能性があるので、同電位部の部品の足やランドを利用し、リード線や錫引き軟銅線を半田付けしても良いが、ラッピングワイヤの使用をお勧めします。その理由は次の2つです。

 

銀メッキ線であること。芯線が銀メッキされているので、ハンダのなじみが抜群です。フラックスが効いている状態ならば、予備はんだは要りません。この魅力を知ってしまうと、もう普通のスズ鍍金線には戻れないでしょう。

 被覆がハンダの熱に耐えますし、柔らかくしなやかで、とても素直です。

 もし、銅箔パターンが細く、隣の銅箔パターンとの間隔が小さい場合は、極細ウレタン電線(小型リレーなどのコイル)を利用し、半田付けしても良いです。

 

() プリント基板の銅箔パターンの断線

 ランドを利用し、リード線を接続できない場合には、断線しているとみられる箇所のソルダーレジストを剥がさないと断線箇所を繋ぐことが出来ないので、ヤスリで削ったり、カッターで削ぎ落としたりしていませんか。パターンが細く多く並んでいる箇所でのこの作業は厄介です。

ここでは、ソルダーレジストの剥がし方がメインになります。細い箇所では神経を使う結構厄介な作業です。サンハヤトの「ハヤコートリムーバー」を使うと意外と簡単に剥がすことが出来ます。剥がさないで良い箇所にはハヤコートリムーバー液が付かないようにポリイミドテープを貼ります。このテープはハンダごての熱にも耐えるとても便利なテープです。絶縁や裸線の固定などに良く使います。ハンダごてを直接こすり付けたりしてもなんともありませんので、配線を繋ぎ直す時に側のラインを傷めないので安心です。

 ハヤコートリムーバーを剥がす箇所に塗り、浸透した頃合いに成ったらカッターの背等で慎重にこすると剥がれて銅箔部分が露出しますので、その銅箔パターンを半田付けします。ポリイミドテープは外さなくて良いです。

 
 ポリイミドはフレキシブル基板の材料にも使われている例の黄土色の材料です。基板の材料ですから耐熱性と絶縁性は十分ですが、耐熱は-269の極低温領域から+400の高温領域まで広い温度範囲に渡って優れた機械的・電気的・化学的特性を発揮します。実際には粘着材の違いなどによりいろんな種類があるようです。決して安くないので、買う前に性能を確認したほうがいいでしょう。このテープはカプトンテープと呼ばれることもあります。カプトンはポリイミドを開発したデュポン社の、ポリイミドフィルムの商標です。

 

 

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